東京地判平成30年12月21日、平成29年(ワ)第18184号<佐藤裁判長>
◆判決本文
1.特許請求の範囲
【請求項1】
変形性膝関節症患者の変形した大腿骨または脛骨に形成された切込みに挿入され,該切込みを拡大して移植物を挿入可能なスペースを形成する骨切術用開大器であって,
先端に配置されたヒンジ部により相対的に揺動可能に連結された2対の揺動部材と,
これら2対の揺動部材をそれぞれヒンジ部の軸線回りに開閉させる2つの開閉機構とを備え,
前記2対の揺動部材が,前記ヒンジ部の軸線方向に着脱可能に組み合わせられており,
前記2対の揺動部材の一方に,他方の揺動部材と組み合わせられたときに,該他方の揺動部材に係合する係合部が設けられている骨切術用開大器。
2.出願経過(“拒絶理由通知書”及びこれに対する“意見書”)
(1)拒絶理由通知書(特許法29条2項,36条違反)(乙1)
「引用文献1(判決注:特表2004-524098号公報,甲8の1。以下『引用文献1』といい,同文献に記載された発明を『引用発明1』という。)には,脛骨に形成された切込みに挿入され,切込みを拡大して骨グラフト材料を挿入可能なギャップを形成する開創器アセンブリであって,ピン112で回転可能に連結された上ジョー104及び下ジョー106(『揺動部材』)と,ジョーを開閉させる駆動部材114(『開閉機構』)とを備えた開創器アセンブリが記載されている。…2つの開創器アセンブリを単に『着脱可能』に組み合わせることは,当業者が適宜なし得る設計的事項である。」
引用文献1の図9A及び9Cは以下のとおりである(甲8の1)。
(2)意見書(以下「本件意見書」という。乙2)(手続補正書(乙3)と同日付け)
「本発明は,2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点において,引用文献1に記載された発明…と相違しています。このような構成によれば,2組の揺動部材を同時に開かせることにより,骨に形成した切り込みの拡大作業を容易にし,また,切り込みの切断面に局所的に過大な押圧力が作用することを防ぐことができるという効果を奏します。一方,審査官殿がご指摘のように引用発明1には,回転可能に連結された一対のジョーを備えた開創器アセンブリが開示されています。しかしながら,この開創器アセンブリを2組着脱可能に組み合わせたとしても,これらが同時に開かれなければ骨への局所的な押圧力を低減することはできません。すなわち,2つの開創器アセンブリを単に着脱可能に組み合わせただけでは本発明の構成を導くことはできません。また,引用発明1には,切り込みの切断面に作用する押圧力を低減するという課題,および,2つの開創器アセンブリを一体で開動作させるという係合部の作用に対する示唆がありませんので,当業者であっても引用発明1から本発明の構成および効果を想到することは困難です。」
3.判決の概要
3-1.構成要件Eの文言非充足(「係合部」)
「構成要件Eは「前記2対の揺動部材の一方に,他方の揺動部材と組み合わせられたときに,該他方の揺動部材に係合する係合部が設けられている骨切術用開大器。」というものである…。
本件発明の「係合部」は揺動部材の一方の一部を構成するものであると解される。…
被告製品の角度調整器及び留め金は,各揺動部材とは独立した部材と認められ,一方の揺動部材の一部分として構成されているとは認められないので,被告製品は,構成要件Eを充足しない。」
3-2.均等論(成立)
(1)第1要件(非本質的部分)
「…本件発明は,前記のとおり,一対の拡大器を用いて切込みを拡大した場合には,拡大器が移植物の挿入の妨げとなり,また,挿入時に拡大器を切込みから取り外した場合には,切込みが拡大された状態に維持されず,移植物の挿入が困難になるという課題を解決するため(本件明細書等の段落【0002】,【0003】),開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設けることにより,2対の揺動部材が同時に開くことを可能とし,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材により切込みの拡大を維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にするものである(本件明細書等の段落【0006】~【0008】,【0012】)。
上記によれば,本件発明において従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は,開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設け,これにより,2対の揺動部材が同時に開くことを可能にするとともに,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材によりその拡大状態を維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にする点にあるというべきである。…
被告製品の角度調整器のピン及び留め金の突起部は,2対の揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部に相当すると認められ,これにより,2対の揺動部材が同時に開くことが可能になり,切込みを拡大した後には,その拡大状態を維持しつつ,その1対を取り出して切込みに移植物を挿入可能なスペースを確保することで移植物の挿入を容易にするものであると認められる。そうすると,被告製品は,本件発明とその特徴的な技術的思想を共有し,同様の効果を奏するものであるということができる。…本件発明と被告製品との相違点は,前記のとおり,本件発明では,係合部が一方の揺動部材の一部分を構成するものであるのに対し,被告製品では,係合部に相当する角度調整器のピン及び留め金の突起部が揺動部材2とは別部材である点にあるところ,このような相違点は,係合部を揺動部材の一部として設けるか別部材にするかの相違にすぎず,本件発明の技術的思想を構成する特徴的部分には該当しないというべきである。…
被告は,本件意見書などを根拠として,本件発明の本質的部分は『揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点』にあると主張する。しかし,被告の指摘する本件意見書の記載部分は,『端部が回転可能に連結されることにより開閉可能に設けられた一対のジョーを備えた開創器アセンブリ』が開示された引用文献1記載の発明との対比において,本件発明の構成を説明するものにすぎず,同記載を根拠として,本件発明の本質的部分が『揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点』にあるということはできない。発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段とその効果に照らして認定されるべきところ,本件発明の課題,解決手段及び効果を考慮すると,本件発明の本質的部分は,開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設けるとの構成にあると認められることは,前記判示のとおりである。」
(2)第2要件(置換可能性=同一の作用効果)
「…被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部は,2対の揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部に相当し,本件発明のように,揺動部材の一部に係合部を設ける構成を,被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部に置き換えたとしても同様の効果を奏すると認められる。
被告は,揺動部材を閉じる際に,一方の揺動部材を閉じていくと,他方の揺動部材との係合が自動的に解除されるとの点も本件発明の作用効果に含まれるとの解釈を前提に,被告製品の場合,一方の揺動部材を閉じるだけでは,他方の揺動部材との係合は自動的に解除されないことから,本件発明と同一の作用効果を奏さないと主張する。しかし,本件明細書等に記載された本件発明の効果は,『本発明によれば,切込みを拡大した状態に維持しつつ,移植物の挿入を容易にすることができる』(段落【0012】)というものである。このような効果は,2対の揺動部材で切込みを拡大した後に1対の揺動部材を取り外すことにより実現することが可能であり,係合の解除が自動的に行われることは本件発明の効果に含まれない…。」
(3)第3要件(製造等の時点において、対象製品が容易に想到することができたこと)
「…一般的に,ある部材から他の部材に力を伝達する際に,2つの部材を直接係合させて力を伝達するか,2つの部材に同時に係合する第3の部材を介して力を伝達するかは,当業者が適宜選択し得る設計的事項であるということができる。そうすると,本件発明のように2対の揺動部材の一方に他方に係合する係合部を設けて直接力を伝達することに代えて,2対の揺動部材に同時に係合する第3の部材(角度調整器及び留め金)を介して力を伝達するようにして被告製品のような構成とすることは,被告製品の製造時において当業者が容易に想到することができたと認めるのが相当である。…」
(4)第4要件(出願時において、対象製品が容易に推考できたものでないこと)
⇒争いなし。
(5)第5要件(意識的除外などの特段の事情がないこと)
「…第5要件に関し,被告は,構成要件Eは本件補正によって追加されたものであるところ,本件拒絶理由通知に対する本件意見書における『本発明は,2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点において,引用文献1に記載された発明…と相違しています。』との記載によれば,原告は,被告製品のように係合部を別部材とする構成を特許発明の対象から意識的に除外したと理解することができるから,均等侵害は成立しないと主張する。
しかし,本件意見書には,『引用文献1には,端部が回転可能に連結されることにより開閉可能に設けられた一対のジョーを備えた開創器アセンブリが開示されています。』,『このような構成(判決注:本件発明に係る構成)によれば,2組の揺動部材を同時に開かせることにより,骨に形成した切り込みの拡大作業を容易にし,また,切り込みの切断面に局所的に過大な押圧力が作用することを防ぐことができる』,『2つの開創器アセンブリを単に着脱可能に組み合わせただけでは本発明の構成を導くことはできません。』『引用発明1には,切り込みの切断面に作用する押圧力を低減するという課題,および,2つの開創器アセンブリを一体で開動作させるという係合部の作用に対する示唆がありません』などの記載がある。
上記記載によれば,本件意見書の主旨は,特許庁審査官に対し,引用例1が一対の揺動部材を開示していることを指摘し,それに対し,本件発明は,開閉可能な2対の揺動部材を組み合わせ,一方の揺動部材を他方の揺動部材に係合するための係合部を設けることにより,両揺動部材が同時に開くことを可能にするものであることを説明する点にあるというべきである。そして,同意見書には,係合部の構成,すなわち,係合部を揺動部材の一部として構成するか,揺動部材とは別の部材により構成をするかを意識又は示唆する記載は存在しない。そうすると,被告の指摘する『2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える』との記載は,上記説明の文脈において本件発明の構成を説明したものにすぎないというべきであり,同記載をもって,同意見書の提出と同時にされた本件補正により構成要件Eが追加された際に,原告が,係合部を揺動部材とは別の部材とする構成を特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできない。」
(1)第1要件(非本質的部分)
知財高判(大合議)平成27年(ネ)第10014号「マキサカルシトールの製造方法」事件は、「本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段 (…)とその効果(…)を把握した上で,特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。…ただし,明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところが,出願時(又は優先権主張日。…)の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合には,明細書に記載されていない従来技術も参酌して,当該特許発明の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定される…。」と判示した。
本判決も、「本件発明は,…という課題を解決するため(本件明細書等の段落【0002】,【0003】),…により,…を容易にするものである(本件明細書等の段落【0006】~【0008】,【0012】)。上記によれば,本件発明において従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は,…により,…を容易にする点にあるというべきである。」と判示しており、課題及び課題解決手段を明細書のみから判断している。
第1要件のあてはめで特に留意すべきポイントは、大合議判決が上記判示部分に続いて「…そのような場合には,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載のみから認定される場合に比べ,より特許請求の範囲の記載に近接したものとなり,均等が認められる範囲がより狭いものとなると解される。」と判示していることである。すなわち、この考え方によれば、課題及び課題解決手段を明細書以外に依拠することは特許権者側としては不利でしかないため、特許権者側としては、課題及び課題解決手段は明細書中に十分に記載されているという枠組みで主張すべきであるということになる。(もちろん、被疑侵害者側は逆である。)
大合議判決後に均等侵害が認められた判決は本判決を含めて2件であるが、もう一つの判決である東京地判平成25年(ワ)第7478号「窒化ガリウム系化合物半導体チップの製造方法」事件も、「本件においては,本件明細書等に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところが,出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分であるという事情は認められない。」と明示的に判示している(同事案では、第5要件は争われなかった。)。
(2)第2要件(置換可能性=同一の作用効果)
知財高判(大合議)平成27年(ネ)第10014号「マキサカルシトールの製造方法」事件は、第1要件の課題及び課題解決手段の裏返しとして、第2要件の「作用効果」を認定した。このように、近時の裁判例は、(論理的な正当性は別として、)第1要件と第2要件を裏返しとして判断しており、第1要件と第2要件の結論が分かれた裁判例は以下の6個のみであり、近時17年間は、そのような裁判例は存在しない。
(参考)第1要件と第2要件の結論が分かれた古い下級審裁判例6件
①東京地判平成11年1月28日(平成8年(ワ)第14828号、判時1664号109頁) 第1要件×、第2要件○
②東京地判平成12年8月31日(平成10年(ワ)第7865号) 第1要件×、第2要件○
③東京地判平成13年1月30日(平成12年(ワ)第186号) 第1要件×、第2要件○
④東京高判平成13年3月22日(平成12年(ネ)第4764号)(上記②の控訴審) 第1要件×、第2要件○
⑤東京地判平成13年5月29日(平成12年(ワ)第12728号) 第1要件×、第2要件○
⑥大阪高判平成13年12月4日(平成12年(ネ)第3891号) 第1要件○、第2要件×
第2要件のあてはめで特に留意すべきポイントは、作用効果の“程度”の議論に入ると、特許権者側に不利であるということである。すなわち、対象製品の作用効果の“程度”が特許発明より小さい事案で第2要件を認めた裁判例は平成22年(ネ)第10014号「地下構造物用丸型蓋」のみであり、同程度と認定して第2要件を認めた平成8年(ワ)第14828号はあるが、例えば、大阪高判平成11年(ネ)第3750号、大阪地判平成10年(ワ)第4202号、大阪地判平成14年(ワ)第10511号などは、対象製品の作用効果の“程度”が特許発明より小さい事案で、第2要件を否定している。
それでは、特許権者側としては、具体的にどのような枠組みで主張すればよいのか?
この点は、ボールスプライン事件の最高裁判決(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決)の最高裁判例解説が非常に参考になるため、以下に引用する。
「…対象製品等において、『特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏する』かどうかは、特許発明の出願前の公知技術と特許発明とを対比して、従来技術では解決できなかった課題であって、当該特許発明により解決されたものを、対象製品等が解決するものであるかどうかにより決せられる。すなわち、ここでいう特許発明の『目的』や『作用効果』は、あくまでも特許発明の出願時における従来技術と特許発明との対比により確定されるものであって、基本的には、明細書の『発明の詳細な説明』欄における『発明が解決しようとする課題』や『発明の効果』の項の記載に基づいて確定されるべきものである。この際、明細書に記載された特許発明の作用効果のうち、当該課題の解決に加えて更に付加して認められる作用効果や実施例に特有の作用効果までも、本要件にいう特許発明の『目的』や『作用効果』として要件(2)の存否を判断するのは、相当ではない。そのように特許発明における課題の解決を超えた付加的作用効果や実施例に特有の効果までも対象製品等が同様に実現することを求めたのでは、均等の成立する余地がほとんどなくなってしまう。…」
同最高裁判例解説を参考にすれば、対象製品が明細書に記載された特許発明の作用効果の一部を奏しない場合には、特許発明の作用効果をある程度は奏するという“程度”問題に入ってはならず、当該奏しない作用効果は本件特許発明の作用効果ではないという枠組みで勝負すべきである。
かかる方針を第1要件と関連して考察すれば、対象製品と特許発明とが共通して奏する作用効果が特許発明の作用効果であるという土俵を設定した上で、作用効果を奏する課題解決原理である技術的思想が特許発明の本質的意義であると主張すべきである。これにより、第1要件が認められれば第2要件も認められるため、第1要件と独立の論点を惹起しない。このような考え方は、近時の裁判例は(上掲知財高裁大合議判決を含めて)第1要件と第2要件を裏返しとしてパラレルに判断していることに照らしても、有用である。
本判決も、「…本件明細書等に記載された本件発明の効果は,『本発明によれば,切込みを拡大した状態に維持しつつ,移植物の挿入を容易にすることができる』(段落【0012】)というものである。このような効果は,2対の揺動部材で切込みを拡大した後に1対の揺動部材を取り外すことにより実現することが可能であり,係合の解除が自動的に行われることは本件発明の効果に含まれない…。」と判示して、被告が主張する効果は「本件発明の効果に含まれない」という枠組みで判断している。
(3)第3要件(製造等の時点において、対象製品が容易に想到することができたこと)
均等論の第3要件における「容易」のレベルについては、東京地判平成28年(ワ)第7763号(「分断部分を有するセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベル」事件、嶋末裁判長)が「第3要件にいう『当業者』が『対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができた』とは,特許法29条2項所定の,公知の発明に基づいて『容易に発明をすることができた』という場合や第4要件の『当業者』が『容易に推考できた』という場合とは異なり,当業者であれば誰もが,特許請求の範囲に明記されているのと同じように,すなわち,実質的に同一なものと認識できる程度に容易であることを要するものと解すべきである(東京地裁平成3年(ワ)第10687号同10年10月7日判決・判時1657号122頁参照)」と判示しているとおり(大阪高判平成12年(ネ)第2290号及び大阪高判平成12年(ネ)第4067号も同旨)、進歩性判断における「容易」よりもさらに容易であるレベルを要求したうえで、第3要件を認めない裁判例が多数存在する。
他方、本判決のように「適宜選択し得る設計的事項である」という程度の簡単なあてはめで第3要件を認めて、「特許請求の範囲に明記されているのと同じように,すなわち,実質的に同一なものと認識できる程度」のあてはめに入らない裁判例も多数存在する。
すなわち、均等論第3要件のメルクマールはダブルスタンダードであり、認めないときは厳しい裁判例の基準が採用され、認めるときは進歩性判断時と同じ緩い基準が採用されている。(筆者が弁理士会特許委員会の均等論検討部会で担当した「均等論に関する裁判例の傾向と対策」(パテント誌2017 Vol. 70 No. 1)に詳述したため、参照されたい。[1])
(4)第4要件(出願時において、対象製品が容易に推考できたものでないこと)
⇒争いなし。
(5)第5要件(意識的除外などの特段の事情がないこと)
本判決は、進歩性欠如を理由とする拒絶理由通知を受けて、意見書とともに手続補正により追加した「前記2対の揺動部材の一方に,他方の揺動部材と組み合わせられたときに,該他方の揺動部材に係合する係合部が設けられている骨切術用開大器」という構成要件Eのうち「係合部」が文言非充足であるが、「同意見書の提出と同時にされた本件補正により構成要件Eが追加された際に,原告が,係合部を揺動部材とは別の部材とする構成を特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできない。」として均等論第5要件は成立せず、均等侵害を認めたものである。
従前、大阪地裁、大阪高裁においては、補正で追加された構成要件について均等侵害が認められた裁判例は幾つか存在したが[2]、東京地裁では見当たらず、東京高裁(知財高裁)においても、知財高判平成17年(ネ)第10047号「椅子式エアーマッサージ機」事例のみであった。その意味で、本判決は、東京(地裁、高裁)で補正で追加された構成要件について均等侵害が認められた裁判例として重要である。
この点について、米国では、2002年5月米国連邦最高裁Festo v. Shoketsu Kinzoku判決が、①出願手続中でクレームが減縮された場合,公知資料を回避するための減縮であるか否かを問わず,特許法上の要件を満たす目的で減縮された限り,出願経過禁反言が適用される(=Warner-Jenkinson米国連邦最高裁)、②クレームが減縮された場合は,特許法上の要件を満たす目的でなされたものと推定される、③クレームの減縮に伴い出願経過禁反言が適用されても,均等論は当然には排除されない(=Flexible Bar)、と一般論を判示した上で、④出願経過禁反言が適用されても均等論を主張する権利者は,❶対象製品が出願時に予見不能であったこと,及び、❷対象製品が減縮により削除された部分と直接の関係がなかったことを立証しなければならないと判示して、CAFCに差戻した。
このように、米国連邦最高裁はFlexible Barを採用していたところ、2017年にドイツ及び英国の最高裁が揃って、補正で追加された構成要件について均等侵害を認めたところであり[3][4]、日本の東京地裁、東京高裁(知財高裁)においても、Flexible Barの裁判例が出されるかが注目されていたタイミングであった。
本判決によれば、進歩性欠如を理由とする拒絶理由通知を受けて、意見書とともに手続補正により追加した構成要件であっても、「特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできない」場合は均等論第5要件が成立せず、均等侵害を認められることとなる。これは、従前の知財高裁判決が「拒絶理由を回避するために行われたものであるか否かなど,出願人の手続補正の目的いかんによって左右されるものではなく,客観的に判断されるべきである[5]という一般論を採用していたことと整合するのか、控訴審の知財高裁判決の判断が待たれるところである。
[1] https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201701/jpaapatent201701_054-067.pdf
[2]大阪地判平成7年(ワ)第1110号「召し合わせ部材取付用ヒンジ」事件~構成を明確にした補正
大阪高判平成6年(ネ)第3292号「組換ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子」事件~36条を満たす為の補正
大阪地判平成6年(ワ)第2090号「青果物の包装体」事件~進歩性に影響ない主張
大阪地判平成8年(ワ)第12220号、<控訴審>大阪高判平成11年(ネ)第2198号「注射液の調製方法及び注射装置」事件~進歩性に影響ない補正
大阪地判平成10年(ワ)第12899号「電動式パイプ曲げ装置」~進歩性に影響ない主張
大阪地判平成22年(ワ)第18041号「ソレノイド駆動ポンプの制御回路」~進歩性に影響ない補正
[3] 英国最高裁[2017]UKSC48「Actavis v. Eli Lilly」事件~英国で初めて均等論を認めた最高裁判決。欧州出願手続においてクレームが減縮補正されたが、この補正は、許容できない中間概念化に基づく新規事項追加の拒絶理由を回避する目的であり、補正要件を満たすものに過ぎないとした。⇒均等論成立
[4] 独国最高裁X ZR 29/15「Actavis v. Eli Lilly」事件~補正の理由が、先行技術に対して主題を限定した場合は均等論が排除されるが、形式要件(新規事項追加や明確性)が契機となった補正は、特許権者が選択決定したとは見做されず、均等論は排除されない。⇒均等論成立
[5] 知財高判平成27年(ネ)第10127号「Web-POS方式」事件(高部裁判長)、知財高判平成28年(ネ)第10007号「振動機能付き椅子」事件(高部裁判長)等
【判示事項(抜粋)】
(1) 特許請求の範囲に記載された構成に,相手方が製造等をする製品又は用いる方法(対象製品等)と異なる部分が存する場合であっても,①当該部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②当該部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2要件),③そのように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が当該出願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(第5要件)は,当該対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁,最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。
本件発明と被告製品との相違点は,本件発明では,係合部が一方の揺動部材の一部分を構成するものであるのに対し,被告製品では,揺動部材2から揺動部材1に力を伝達する部分である角度調整器のピン及び留め金の突起部が揺動部材2とは別部材である点にあるところ,被告は,原告の均等侵害の主張に対し,第4要件を充足することは争わないものの,その余の要件の充足性を争うので,以下検討する。
(2) 第1要件(非本質的部分)について
ア 均等侵害が成立するための第1要件は,特許請求の範囲に記載された構成と対象製品に係る相違点が特許発明の本質的部分ではないことを要するとするものである。特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にあることに照らすと,特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきである。
イ そこで,本件発明と被告製品の相違点に係る構成が本件発明の本質的部分に該当するかどうかについて検討する。
(ア) 本件発明は,前記のとおり,一対の拡大器を用いて切込みを拡大した場合には,拡大器が移植物の挿入の妨げとなり,また,挿入時に拡大器を切込みから取り外した場合には,切込みが拡大された状態に維持されず,移植物の挿入が困難になるという課題を解決するため(本件明細書等の段落【0002】,【0003】),開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設けることにより,2対の揺動部材が同時に開くことを可能とし,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材により切込みの拡大を維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にするものである(本件明細書等の段落【0006】~【0008】,【0012】)。
上記によれば,本件発明において従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は,開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設け,これにより,2対の揺動部材が同時に開くことを可能にするとともに,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材によりその拡大状態を維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にする点にあるというべきである。
(イ) 他方,被告製品は,①変形性膝関節症患者の変形した大腿骨又は脛骨に形成された切込みに挿入され,当該切込みを拡大して移植物を挿入可能なスペースを形成する骨切術用開大器であり,②開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,各揺動部材の上側揺動部に角度調整器のピンを挿通させるためのピン用孔を設け,同各揺動部材の下側揺動部に留め金の突起部をはめ込むための開口部を設けるとの構5 成を備えることにより,③開口部に留め金の突起部がはめ込まれ,ピン用孔に角度調整器の2本のピンを挿通された状態において2対の揺動部材が同時に開くことを可能にし,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材により切込みを拡大した状態に維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にするものであると認められる。
被告製品の角度調整器のピン及び留め金の突起部は,2対の揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部に相当すると認められ,これにより,2対の揺動部材が同時に開くことが可能になり,切込みを拡大した後には,その拡大状態を維持しつつ,その1対を取り出して切込みに移植物を挿入可能なスペースを確保することで移植物の挿入を容易にするものであると認められる。そうすると,被告製品は,本件発明とその特徴的な技術的思想を共有し,同様の効果を奏するものであるということができる。
(ウ) 本件発明と被告製品との相違点は,前記のとおり,本件発明では,係合部が一方の揺動部材の一部分を構成するものであるのに対し,被告製品では,係合部に相当する角度調整器のピン及び留め金の突起部が揺動部材2とは別部材である点にあるところ,このような相違点は,係合部を揺動部材の一部として設けるか別部材にするかの相違にすぎず,本件発明の技術的思想を構成する特徴的部分には該当しないというべきである。
ウ これに対し,被告は,本件意見書などを根拠として,本件発明の本質的部分は「揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点」にあると主張する。
しかし,被告の指摘する本件意見書の記載部分は,「端部が回転可能に連結されることにより開閉可能に設けられた一対のジョーを備えた開創器アセンブリ」が開示された引用文献1記載の発明との対比において,本件発明の構成を説明するものにすぎず,同記載を根拠として,本件発明の本質的部分が「揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点」にあるということはできない。
発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段とその効果に照らして認定されるべきところ,本件発明の課題,解決手段及び効果を考慮すると,本件発明の本質的部分は,開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設けるとの構成にあると認められることは,前記判示のとおりである。
エ 以上のとおり,本件発明と被告製品の相違点は,本件発明の本質的部分ではないので,被告製品は,第1要件を充足する。
(3) 第2要件(置換可能性)について
ア 第2要件は,特許発明のうち対象製品と相違する部分について対象製品等における該当部分と置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏することを要するというものである。上記(2)イ(イ)のとおり,被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部は,2対の揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部に相当し,本件発明のように,揺動部材の一部に係合部を設ける構成を,被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部に置き換えたとしても同様の効果を奏すると認められる。
イ これに対し,被告は,揺動部材を閉じる際に,一方の揺動部材を閉じていくと,他方の揺動部材との係合が自動的に解除されるとの点も本件発明の作用効果に含まれるとの解釈を前提に,被告製品の場合,一方の揺動部材を閉じるだけでは,他方の揺動部材との係合は自動的に解除されないことから,本件発明と同一の作用効果を奏さないと主張する。
しかし,本件明細書等に記載された本件発明の効果は,「本発明によれば,切込みを拡大した状態に維持しつつ,移植物の挿入を容易にすることができる」(段落【0012】)というものである。このような効果は,2対の揺動部材で切込みを拡大した後に1対の揺動部材を取り外すことにより実現することが可能であり,係合の解除が自動的に行われることは本件発明の効果に含まれないというべきである。
ウ したがって,被告製品は第2要件を充足する。
(4) 第3要件(置換容易性)について
ア 続いて,本件発明の揺動部材の一部に係合部を設ける構成を角度調整器のピンと留め金の突起部に置き換えることについて,当業者が,被告製品の製造時において,容易に想到し得たかどうかについて検討する。
本件発明は,2対の揺動部材のうち,一方に係合部(実施例では突起9)を設け,他方にこれと係合する部分(実施例では凹部10)を設けることにより,当該一方の揺動部材から他方の揺動部材に力を伝達して,両揺動部材が同時に開くことを可能にするものであるが,一般的に,ある部材から他の部材に力を伝達する際に,2つの部材を直接係合させて力を伝達するか,2つの部材に同時に係合する第3の部材を介して力を伝達するかは,当業者が適宜選択し得る設計的事項であるということができる。
そうすると,本件発明のように2対の揺動部材の一方に他方に係合する係合部を設けて直接力を伝達することに代えて,2対の揺動部材に同時に係合する第3の部材(角度調整器及び留め金)を介して力を伝達するようにして被告製品のような構成とすることは,被告製品の製造時において当業者が容易に想到することができたと認めるのが相当である。
イ これに対し,被告は,本件発明の係合部材を角度調整器のピンや留め金の突起部に置き換えることは本件明細書等に開示も示唆もされておらず,そのような置換をすると部品点数が増え,構造がより複雑になるので,当業者がそのような置換をすることを容易に想到し得たということはできないと主張する。
しかし,本件発明の揺動部材の一部に係合部を設ける構成を角度調整器のピンと留め金の突起部に置き換えることについて本件明細書等に開示又は示唆がないとしても,そのことから直ちに被告製品の製造時において当業者が容易に想到し得ないということはできず,前記判示のとおり,一般的に,ある部材から他の部材に力を伝達する際に,2つの部材を直接係合させて力を伝達するか,2つの部材に同時に係合する第3の部材を介して力を伝達するかは,当業者が適宜選択し得る設計的事項であるということができる。
また,本件発明の揺動部材の一部に係合部を設ける構成を角度調整器のピンと留め金の突起部に置き換えたとしても,部品点数が大幅に増えるものではなく,構成が複雑になるものではないから,部品点数や構造の複雑化を根拠に,当業者が係る置換を容易に想到し得ないということはできない。
ウ したがって,被告製品は第3要件を充足する。
(5) 第5要件(特段の事情)について
ア 第5要件に関し,被告は,構成要件Eは本件補正によって追加されたものであるところ,本件拒絶理由通知に対する本件意見書における「本発明は,2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点において,引用文献1に記載された発明…と相違しています。」との記載によれば,原告は,被告製品のように係合部を別部材とする構成を特許発明の対象から意識的に除外したと理解することができるから,均等侵害は成立しないと主張する。しかし,本件意見書には,「引用文献1には,端部が回転可能に連結されることにより開閉可能に設けられた一対のジョーを備えた開創器アセンブリが開示されています。」,「このような構成(判決注:本件発明に係る構成)によれば,2組の揺動部材を同時に開かせることにより,骨に形成した切り込みの拡大作業を容易にし,また,切り込みの切断面に局所的に過大な押圧力が作用することを防ぐことができる」,「2つの開創器アセンブリを単に着脱可能に組み合わせただけでは本発明の構成を導くことはできません。」「引用発明1には,切り込みの切断面に作用する押圧力を低減するという課題,および,2つの開創器アセンブリを一体で開動作させるという係合部の作用に対する示唆がありません」などの記載がある。
上記記載によれば,本件意見書の主旨は,特許庁審査官に対し,引用例1が一対の揺動部材を開示していることを指摘し,それに対し,本件発明は,開閉可能な2対の揺動部材を組み合わせ,一方の揺動部材を他方の揺動部材に係合するための係合部を設けることにより,両揺動部材が同時に開くことを可能にするものであることを説明する点にあるというべきである。そして,同意見書には,係合部の構成,すなわち,係合部を揺動部材の一部として構成するか,揺動部材とは別の部材により構成をするかを意識又は示唆する記載は存在しない。
そうすると,被告の指摘する「2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える」との記載は,上記説明の文脈において本件発明の構成を説明したものにすぎないというべきであり,同記載をもって,同意見書の提出と同時にされた本件補正により構成要件Eが追加された際に,原告が,係合部を揺動部材とは別の部材とする構成を特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできない。
ウ したがって,被告製品は第5要件を充足する。
(6) 小括
以上によれば,均等侵害の第1,第2,第3及び第5要件を充足し,本件では,第4要件の充足性に争いはないから,被告製品の係合部の構成を,揺動部材の一部分とするものから別部材とするものに置換したとしても,被告製品の構成は,本件発明と均等なものとして,本件発明の技術的範囲に属するということができる。
原告(無効審判請求人):オリンパステルモバイオマテリアル株式会社
被告(特許権者):HOYA Technosurgical株式会社
(Keywords)均等、第5要件、意識的除外、特段の事情、オリンパス、HOYA、ホヤ、骨切術用開大器、係合部、Festo、フェスト、Flexible Bar、フレキシブル、Actavis、Eli Lilly、補正、意見書、拒絶理由通知
執筆:高石秀樹(弁護士・弁理士)(特許ニュース平成31年2月12日の原稿を追記・修正したものです。)
監修:吉田和彦(弁護士・弁理士)
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